高齢者の家事負担を減らすには?毎日の暮らしをラクにする方法

2026.09.24

高齢になると家事の負担が増えるのはなぜ?

若いころは当たり前のようにできていた掃除や洗濯、買い物などが、年齢を重ねるにつれて「大変だな」と感じるようになることがあります。

例えば、掃除機をかけるだけでも、掃除機を持って移動したり、家具の周りを掃除したり、床に落ちた物を拾ったりしなければなりません。

お風呂掃除なら、しゃがんだり前かがみになったりする動作が必要です。

買い物では、スーパーまで移動することだけでなく、購入した重い荷物を持って帰る負担もあります。

こうした小さな負担が積み重なることで、家事そのものがおっくうになってしまうことがあります。

さらに、一人暮らしの高齢者の場合は、掃除、洗濯、料理、買い物、ゴミ出しなどを基本的に一人で行わなければなりません。

そのため、高齢者の家事負担を減らすには、本人の頑張りだけに頼るのではなく、家事のやり方や環境を見直すことが大切です。


高齢者の家事負担を減らす5つの方法

ここからは、毎日の暮らしの中で取り入れやすい方法を紹介します。

1.毎日すべての家事をしない

最も大切なのは、「毎日、家中をきれいにしなければならない」と考えないことです。

例えば掃除なら、今日はリビング、明日はトイレ、その次はキッチンというように、場所を分けます。

洗濯も、毎日必ず行う必要がなければ、家族構成や洗濯物の量に合わせて回数を調整します。

家事は一度にまとめてやろうとすると疲れやすくなります。

少しずつ、できる範囲で続けることが、家事負担を減らす基本です。

2.使いやすい道具に変える

掃除道具や洗濯用品を見直すだけでも、家事の負担を減らせることがあります。

例えば、掃除なら軽い掃除機や立ったまま使えるモップ、長い柄のブラシなどです。

お風呂掃除でも、かがむ回数を減らせる掃除道具を使うことで、体への負担を抑えやすくなります。

洗濯では、重い洗濯物をまとめて持つのではなく、小分けにして運ぶ方法もあります。

大切なのは、高価な道具をそろえることではありません。

本人が「使いやすい」と感じる道具を選ぶことです。

3.よく使う物は手の届きやすい場所に置く

高齢者の家事負担を減らすには、家の中の収納方法を見直すことも有効です。

例えば、毎日使う食器を高い棚に置いていると、取り出すたびに腕を伸ばさなければなりません。

重い鍋や調理器具を低い場所に置くと、今度はしゃがむ動作が増えます。

そこで、よく使う物は、無理に背伸びしたり深くかがんだりしなくても取れる場所に置くようにします。

掃除用品についても、使う場所の近くに置いておくと、準備や片付けが楽になります。

「家事そのものを減らす」だけではなく、家事をしやすい家にすることも負担軽減につながります。

4.重い物を持つ家事は誰かにお願いする

高齢者の家事の中でも、特に負担になりやすいのが「重い物を持つ作業」です。

例えば、

  • 米や飲料の購入
  • 大量の洗濯物を運ぶ
  • 布団の上げ下ろし
  • 大きなゴミ袋の持ち運び
  • 家具の移動

などです。

こうした作業は、本人が無理をする必要はありません。

家族が近くに住んでいるなら、訪問したときに重い物だけ運ぶ方法があります。

また、ネットスーパーや宅配サービスなど、重い物を持って帰らなくて済む方法を取り入れることも考えられます。

家事は「全部自分でやるもの」と考えず、負担の大きい部分を誰かに分けることが大切です。

5.家事代行や生活支援を利用する

家族が忙しかったり、遠方に住んでいたりする場合は、家族だけで高齢者の家事を支えるのが難しいことがあります。

そのような場合は、家事代行や生活支援サービスを利用する方法があります。

例えば、サービス内容に応じて、

  • 掃除
  • 掃除機がけ
  • トイレ掃除
  • 浴室掃除
  • キッチン掃除
  • 洗濯
  • 整理整頓

などの日常的な家事をお願いできる場合があります。

「家事を全部任せる」のではなく、

「浴室だけお願いする」

「週に1回掃除してもらう」

「大変な場所だけお願いする」

といった利用方法もあります。

必要な部分だけ外部にお願いすることで、本人の生活を大切にしながら家事の負担を減らすことができます。


家族が高齢の親を支えるときに大切なこと

親の家事を心配すると、「自分が全部やらなければ」と考えてしまう家族もいます。

しかし、家族にも仕事や家庭があります。

親のために頑張りすぎて、家族自身が疲れてしまうと、長期的な支援が難しくなってしまいます。

そこで、家事を次の3つに分けて考えてみましょう。

本人ができること

家族ができること

外部にお願いすること

例えば、簡単な片付けは本人、月1回の大掃除は家族、日常の掃除は家事代行という形です。

すべてを誰か一人に集中させないことがポイントです。


親の「自分でやりたい」という気持ちを大切にする

高齢の親に掃除を手伝おうとすると、

「まだ自分でできる」

「人にやってもらわなくていい」

と言われることがあります。

このような場合に、

「もうできないからお願いしたほうがいい」

と伝えると、本人が否定されたように感じることがあります。

そんなときは、

「ここは大変だから私がやるよ」

「高いところだけ任せて」

「重い物は私が持つね」

など、本人ができることを残したままサポートする方法がおすすめです。

家事のすべてを取り上げる必要はありません。

自分でできることを続けながら、負担の大きい部分だけ支えることが大切です。


掃除は「きれいにする」より「続けられること」を優先する

高齢者の掃除では、「家中をピカピカにする」ことを目標にしなくても構いません。

例えば、

  • 毎日使うトイレ
  • キッチン
  • リビング
  • よく歩く通路

など、生活に必要な場所を優先します。

反対に、普段あまり使わない物置や収納棚などは、毎回掃除する必要はありません。

「今の生活に必要なところから掃除する」と考えると、家事の量を減らせます。


お風呂掃除は無理をしない

高齢者の家事の中で、特に注意したいのがお風呂掃除です。

浴室は床が濡れているため滑りやすく、床を洗うときにはしゃがんだり立ち上がったりする動作もあります。

また、高い場所を掃除するために椅子や踏み台を使うのも注意が必要です。

「できるからやる」のではなく、安全にできるかどうかを考えることが大切です。

高い場所や大変な場所は、家族や外部サービスに任せる方法もあります。

詳しくは、次の記事も参考になります。

「高齢者のお風呂掃除は危険?転倒を防ぐために気をつけたいこと」


家事の負担を減らすなら「物を増やしすぎない」ことも大切

家事が大変になる原因は、体力だけではありません。

家の中に物が多すぎると、掃除の前に片付けをしなければならなくなります。

床に荷物が置かれていれば、掃除機をかける前に一つずつ移動させる必要があります。

そのため、使っていない物を整理して、掃除しやすい環境を作ることも大切です。

ただし、高齢の親の家を片付ける場合は、家族が勝手に物を捨てないようにしましょう。

親にとって思い出のある物や、今後使う予定の物もあります。

整理するときは、

「これは使っている?」

「ここに置くと使いやすいかな?」

など、本人に確認しながら進めることが大切です。


高齢者の家事負担を減らすことは「暮らしを支える」こと

家事を減らすというと、「本人が何もしなくなるのでは?」と心配する方もいるかもしれません。

しかし、本当に大切なのは、本人が無理をせず生活できることです。

掃除に時間や体力を使いすぎて疲れてしまうより、負担の大きな家事を誰かに任せて、好きなことや家族との時間を楽しむほうがよい場合もあります。

家事代行などを利用することは、決して「楽をするためだけ」のものではありません。

これからも安心して暮らし続けるために、暮らしを支える方法の一つとして考えることができます。


家事代行17年の経験から感じる、高齢者の家事負担

家事代行を17年経験してきた中でも、高齢の方のお宅では、「家事ができない」というよりも、「今までと同じ方法で家事をすることが大変になった」というケースがあります。

例えば、

掃除機を持って部屋を移動する。

お風呂でしゃがんで掃除する。

重い洗濯物を運ぶ。

高い場所のホコリを取る。

重い飲料を買って持ち帰る。

こうした作業は、一つひとつは小さなことでも、毎日続ければ大きな負担になります。

だからこそ、すべてをできるかどうかで考えるのではなく、どこまでなら無理なく続けられるのかを考えることが大切です。

本人ができることは続けてもらい、大変な部分だけ家族やサービスで支える。

この考え方なら、高齢者本人の生活も大切にしながら、家族の負担も減らしやすくなります。


高齢の親の家事負担が増えてきたときのチェックポイント

次のような変化がないか、一度確認してみましょう。

「以前より掃除をしなくなった」

「洗濯物がたまるようになった」

「買い物に行く回数が減った」

「重い物を持たなくなった」

「お風呂掃除を嫌がるようになった」

「家族が実家へ行って家事をする回数が増えた」

「家事をすると疲れている様子がある」

こうした変化がいくつか重なっているなら、家事の負担が大きくなっている可能性があります。

問題が大きくなってからではなく、少し早めにサポート方法を考えることが大切です。


家族だけでは難しいときは、早めに相談する

高齢の親の家事を家族だけで支え続けることが難しいと感じたら、無理をして頑張り続ける必要はありません。

家事代行、見守りを含む生活支援、買い物支援、実家の片付けなど、困っている内容に合わせてさまざまな選択肢があります。

また、掃除や洗濯だけでなく、食事、入浴、外出など生活全体で困りごとが増えている場合には、家事代行だけで解決しようとせず、介護や福祉の専門機関などへの相談も考えましょう。

「何を利用すればいいのかわからない」という場合こそ、相談することに意味があります。


まとめ|高齢者の家事負担は「できること」と「お願いすること」を分けましょう

高齢になると、掃除、洗濯、買い物、料理など、これまで当たり前にできていた家事が負担になることがあります。

そんなときに大切なのは、親に「全部自分で頑張ってもらう」ことでも、家族が「全部やってあげる」ことでもありません。

本人ができることは続けてもらい、負担の大きな部分だけを家族や外部サービスにお願いする。

このように役割を分けることで、無理のない生活を続けやすくなります。

高齢者の家事負担を減らすためには、

一度に全部やらない

使いやすい道具を使う

家事をしやすい環境を作る

重い作業は無理をしない

必要に応じて家事代行や生活支援を利用する

ことがポイントです。

「親の家事が最近大変そう」と感じたら、それは生活を支える方法を見直すタイミングかもしれません。

無理をする前に、できることから少しずつサポートを取り入れていきましょう。


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