高齢者が安心して暮らせる部屋づくり|掃除と整理整頓のポイン
高齢者が安心して暮らせる部屋づくりとは?
高齢の親が自宅で暮らしていると、家族として気になるのが、部屋の状態や日常生活の安全性です。
「床に物が増えて歩きにくそう」
「掃除が以前より行き届かなくなってきた」
「必要な物を探すのに時間がかかっている」
「家具が多くて移動しにくそう」
このような変化に気づくことはありませんか?
長年暮らしてきた家には、本人にとって使いやすい家具や、思い出の品がたくさんあります。そのため、家族が一方的に物を減らしたり、家具の場所を変えたりすると、かえって生活しにくくなることもあります。
大切なのは、単に部屋をきれいにすることではありません。
安全に歩けること、必要な物を取り出しやすいこと、無理なく掃除できることを意識して環境を整えることです。
消費者庁も、高齢者の転倒・転落事故を防ぐために、床に物を置かない、電源コードを通り道にしない、段差や階段に手すりを設置するなど、生活環境を見直すことを勧めています。
この記事では、高齢者が安心して暮らせる部屋づくりについて、掃除や整理整頓の具体的な方法と、家族ができる生活支援をわかりやすく紹介します。
1.まずは床に物を置かない環境を作る
高齢者の部屋づくりで、最初に見直したいのが床の状態です。
床に物が多いと、歩くときにつまずいたり、掃除機をかけにくくなったりすることがあります。
例えば、
- 廊下に置かれた段ボール
- 床に置いた買い物袋
- めくれやすいカーペット
- 通り道を横切る電源コード
- ベッドの周囲に置かれた衣類や荷物
などです。
まずは、玄関からリビング、寝室からトイレなど、普段よく歩く場所の通路を確認してみましょう。
通り道に物を置かないだけでも、歩きやすさや掃除のしやすさが変わる場合があります。
ただし、家族の判断だけで物を捨てる必要はありません。
「この荷物を別の場所に置くと歩きやすくなりそうだけど、どう思う?」
と本人に確認しながら、使いやすい環境を作っていきましょう。
2.家具の配置を見直して移動しやすくする
家具の配置も、高齢者が安全に暮らすために大切なポイントです。
例えば、ソファとテーブルの間が狭すぎたり、タンスの前に荷物が置かれていたりすると、歩くときに体をひねったり、無理にすり抜けたりしなければならないことがあります。
家具を配置するときは、次の点を確認しましょう。
歩くスペースを確保する
よく通る場所には、十分な通路を確保します。
よく使う家具を使いやすい場所に置く
毎日使う椅子やテーブルなどは、本人が無理なく使える位置にします。
家具の角や出っ張りに注意する
通路に家具の角が大きく出ている場合は、ぶつかりやすくなっていないか確認します。
必要な支えを考える
立ち上がるときに家具につかまっている場合は、その動作が安全かどうかを確認しましょう。必要に応じて、手すりなどの設置を専門家に相談する方法もあります。
家具を減らせば必ず安全になるとは限りません。本人の動き方や生活習慣に合わせて、無理のない配置を考えることが大切です。
3.必要な物は取り出しやすい場所に置く
高齢になると、背伸びをしたり、しゃがんだり、高い棚から重い物を下ろしたりする動作が負担になる場合があります。
そこで、よく使う物は、無理なく手が届く場所にまとめることを考えてみましょう。
例えば、
- 毎日使う食器は取り出しやすい棚へ
- よく着る衣類は手の届く高さへ
- 掃除用品は必要な場所の近くへ
- 日用品は種類ごとにまとめる
- リモコンや眼鏡などは定位置を決める
このようにしておけば、物を探したり、何度も移動したりする負担を減らしやすくなります。
ただし、高い棚をすべて使わなくする必要はありません。使用頻度の低い物を上の棚に置き、毎日使う物を取り出しやすい場所に置くなど、使い方に合わせて整理しましょう。
4.掃除しやすい部屋にする
高齢者の部屋づくりでは、掃除のしやすさも大切です。
物が多すぎると、掃除機をかけるたびに荷物を移動させる必要があります。また、家具の周りや収納の隙間にホコリがたまりやすくなります。
掃除しやすい環境を作るためには、次のような工夫があります。
床に置く物を減らす
必要な物は収納に入れるなど、床に物がたまりにくい仕組みを作りましょう。
収納場所を決める
使った物を戻す場所が決まっていると、片付けがしやすくなります。
よく使う場所から整える
家全体を一度に片付けるのではなく、リビングや寝室など、毎日使う場所から始める方法もあります。
無理のない掃除方法を考える
長時間の掃除や、しゃがむ動作が多い掃除は、負担になる場合があります。作業を短時間に分けたり、大変な場所だけ家族や外部サービスにお願いしたりする方法を考えましょう。
消費者庁は、掃除中の転落などを防ぐため、高い場所の作業では脚立や踏み台の使用に注意し、滑りやすい場所では足場を確認するよう呼びかけています。
5.寝室は夜間の移動を考えて整える
寝室は、昼間だけでなく、夜中に起きたときの安全性も考えて整えましょう。
特に、夜間にトイレへ行く場合は、暗い中でベッドから起き上がり、廊下を歩くことがあります。
次の点を確認してみてください。
- ベッドの周囲に荷物が置かれていないか
- 夜間に足元を照らせる照明があるか
- スリッパや履物が歩く妨げになっていないか
- よく使う眼鏡や携帯電話が取りやすい場所にあるか
- ベッドから立ち上がるときに不安がないか
夜間の動きに不安がある場合は、足元を照らす照明を設置したり、家具の配置を見直したりする方法があります。
ベッドや寝具を動かす場合も、本人にとって立ち上がりやすい位置かどうかを確認してから行いましょう。
6.浴室やトイレなど、転倒しやすい場所を確認する
部屋づくりは、リビングや寝室だけを整えればよいわけではありません。
浴室、脱衣所、トイレ、玄関、階段なども、安全性を確認したい場所です。
浴室では濡れた床や石けんの泡などが滑る原因になります。脱衣所やトイレでは、立ち座りの動作が負担になる場合があります。
必要に応じて、滑り止めや手すりの設置、段差の解消などを検討しましょう。
介護保険の対象となる住宅改修には、条件を満たす場合、手すりの取り付けや段差の解消、床材の変更などが含まれます。
ただし、本人の要介護認定や工事の内容などによって利用条件が異なるため、工事を始める前に自治体や担当のケアマネジャーなどへ相談することが大切です。
7.整理整頓は本人の気持ちを大切にしながら進める
家族が親の家を訪問すると、物が多いことや、片付けができていないことが気になるかもしれません。
しかし、本人にとっては、長年使ってきた家具や思い出の品が大切な場合があります。
そのため、「いらないから捨てよう」と一方的に決めるのではなく、本人の希望を確認しながら進めることが大切です。
おすすめなのは、物を次の4つに分ける方法です。
使う物
今後も必要な物。
保管する物
写真や思い出の品など、大切に残したい物。
譲る物
家族などが引き取る物。
処分を検討する物
本人が不要だと確認した物。
すぐに決められない物は、無理に処分せず、保留にしておいても構いません。
部屋をきれいにすることを急ぎすぎず、本人が納得できるペースで整理しましょう。
8.掃除や片付けは一度に終わらせようとしない
高齢の親の部屋を片付けようとすると、家族は「今日中に全部きれいにしたい」と思うかもしれません。
しかし、大量の荷物を一度に整理するのは、本人にとっても家族にとっても大きな負担です。
まずは、毎日の生活でよく使う場所から始めてみましょう。
例えば、
1日目: 玄関の通路を確保する。
2日目: リビングの床にある物を整理する。
3日目: よく使う棚を取り出しやすくする。
4日目: 寝室のベッド周辺を整える。
このように、小さな作業に分ける方法があります。
大切なのは、見た目を一度に変えることではなく、本人が安全に暮らせる状態を少しずつ作ることです。
家事代行17年の経験から感じる、安心できる部屋づくり
家事代行を17年経験してきた中で、高齢者のお宅では、物が多いことによって掃除の負担が増えているケースがあります。
床に物が多いと掃除機をかけにくくなり、収納場所が決まっていないと、使った物が床やテーブルに置かれたままになりやすくなります。
また、本人が一生懸命掃除をしていても、浴室や家具の周りなど、負担の大きい場所は後回しになっていることがあります。
そんなときは、部屋全体を完璧にきれいにしようとするのではなく、安全に歩ける場所を確保し、毎日使う物を取り出しやすくして、掃除の負担を減らすことから始めるとよいでしょう。
家族ができる部分は家族で行い、大型家具の移動や負担の大きい掃除は、必要に応じて外部サービスに相談する方法もあります。
家事代行を利用して、無理なく整った部屋を保つ方法
片付けや掃除が難しくなってきた場合は、家事代行を利用する方法もあります。
例えば、
- 掃除機がけや床掃除
- トイレや浴室などの掃除
- 洗濯や洗濯物の片付け
- 日常的な整理整頓
- 使いやすい場所への収納の整理
などです。
ただし、対応できる作業や範囲は事業者によって異なります。大きな家具の移動、住宅改修、専門的な介護などは、別のサービスや専門家への相談が必要になる場合があります。
また、家事代行を利用する場合も、本人がどのような部屋で暮らしたいかを確認することが大切です。
家族がすべてを代わりに行うのではなく、本人ができることは続けながら、負担の大きな部分を支える方法を考えましょう。
高齢者が安心して暮らせる部屋づくりのチェックリスト
親の家を訪問したときは、次の点を確認してみてください。
□ 廊下や部屋の床に荷物が置かれていない
□ 電源コードが歩く場所を横切っていない
□ カーペットやマットがめくれていない
□ 家具の間に十分な通路がある
□ よく使う物が手の届きやすい場所にある
□ 寝室のベッド周辺が安全に歩ける
□ 浴室やトイレで無理な動作をしていない
□ 掃除や片付けが本人の負担になっていない
□ 本人の希望を確認しながら整理できている
すべてを一度に改善する必要はありません。危険や負担が大きい場所から、一つずつ見直していきましょう。
まとめ|高齢者が安心して暮らすためには、掃除と整理整頓の工夫が大切
高齢者が安心して暮らせる部屋づくりでは、部屋をきれいにするだけでなく、転倒を防ぎ、必要な物を使いやすくすることが大切です。
特に意識したいのは、
床に物を置かず、通り道を確保する
家具を配置し直して移動しやすくする
よく使う物を取り出しやすい場所に置く
掃除しやすい環境を作る
寝室や浴室などの安全性を確認する
本人の希望を聞きながら整理整頓する
という点です。
高齢の親の家を片付けるときは、家族が一方的に物を捨てたり、家具の配置を変えたりするのではなく、本人が使いやすいかどうかを確認しながら進めましょう。
掃除や整理整頓の負担が大きい場合は、家事代行などの外部サービスを利用する方法もあります。
大切なのは、完璧に片付いた部屋を作ることではありません。
高齢の親が無理なく、安全に、住み慣れた家で暮らし続けられる環境を整えることです。
家族だけで抱え込まず、必要な支援も取り入れながら、できるところから部屋づくりを進めていきましょう。
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