高齢者の家庭内事故で多い場所は?自宅でできる安全対策

2026.10.07

高齢者の家庭内事故は住み慣れた家でも起こる

「自宅だから安心」と思っていても、高齢になると今まで気にならなかった段差や濡れた床、家具の配置などが事故につながることがあります。

高齢者の家庭内事故で特に注意したいのが、転倒・転落です。

消費者庁によると、高齢者が日常生活中に救急搬送された事故では「ころぶ(転倒)」が最も多く、「落ちる(転落)」を合わせると約9割を占めています。また、消費者庁の調査では、けがなどを経験した場所として「階段」が最も多く、次いで「風呂場・脱衣所・洗面所・トイレ」、「庭・ベランダ・駐車場」が挙げられています。

さらに、消費者庁は高齢者の自宅内の転倒について、浴室・脱衣所、庭・駐車場、ベッド・布団、玄関・勝手口、階段などで事故が起きていると注意喚起しています。

つまり、家庭内事故を防ぐには、家全体を見て「危険になりそうな場所」を少しずつ減らしていくことが大切です。


高齢者に多い家庭内事故は「転倒・転落」

高齢になると、筋力やバランス能力、視力などの変化や、病気・薬の影響などによって、とっさに体勢を立て直すことが難しくなる場合があります。消費者庁も、これらが転倒・転落の主な原因になるとしています。

転倒は「ちょっと転んだだけ」と考えてしまいがちですが、骨折や頭部のけがなどにつながる場合があります。

そのため、事故が起きないようにするためには、本人の注意だけに頼るのではなく、住環境を整えることも重要です。


高齢者の家庭内事故が多い場所①|階段

階段は、高齢者の家庭内事故を考えるうえで特に注意したい場所です。

消費者庁の調査では、けがなどの経験があった場所として階段が最も多く、階段では「段差で足を踏み外した」という経験が多く報告されています。

階段でできる安全対策

まず確認したいのが、手すりです。

片側だけでなく、必要に応じて手すりを使いやすい位置に設置することを検討しましょう。

また、階段の上り下りをするときに足元が暗いと危険です。

夜間に階段を使う家庭なら、足元を照らせる照明や常夜灯を利用する方法があります。

さらに、階段には物を置かないようにしましょう。

「後で片付けよう」と置いた荷物が、つまずきの原因になることがあります。


高齢者の家庭内事故が多い場所②|浴室・脱衣所

浴室も注意したい場所です。

濡れた床、石けんやシャンプーのぬめり、浴槽への出入りなど、滑りやすくなる要素があります。

消費者庁も、浴室や脱衣所について、手すりや滑り止めマットを活用し、足元に注意するよう案内しています。

浴室でできる安全対策

浴室の床は、石けんやシャンプーが残らないように流しておきましょう。

必要に応じて、滑り止めマットや手すりの設置を検討します。

また、高齢者自身がお風呂掃除をしている場合は、掃除中の転倒にも注意が必要です。

床を洗うためにしゃがんだり、高い場所を掃除するために踏み台を使ったりすると危険が増えることがあります。

特に高い場所の掃除は、本人が無理をせず、家族や外部サービスに任せる方法もあります。


浴室では「入浴中の事故」にも注意

浴室では転倒だけでなく、入浴中の事故にも注意が必要です。

消費者庁は、入浴前に脱衣所や浴室を暖める、湯温は41度以下、湯につかる時間は10分までを目安にする、浴槽から急に立ち上がらないなどの注意点を案内しています。

掃除だけでなく、入浴そのものも安全に行える環境になっているか確認しましょう。


高齢者の家庭内事故が多い場所③|玄関

玄関も、段差や靴の脱ぎ履きでバランスを崩しやすい場所です。

荷物を持ったまま玄関の段差を上り下りすると、足元が見えにくくなることがあります。

玄関でできる安全対策

まず、玄関に物を置きすぎないようにしましょう。

靴、段ボール、買い物袋などが床に置かれていると、つまずく原因になります。

また、段差がある場合は手すりの設置なども検討できます。

夜間に玄関を通ることがあるなら、足元が見える明るさを確保しておくことも大切です。


高齢者の家庭内事故が多い場所④|廊下・部屋の中

高齢者の転倒は、特別危険に見えない場所でも起こります。

例えば、

  • 電源コード
  • めくれたカーペット
  • 床に置かれた荷物
  • 小さな段差
  • 滑りやすいマット

などです。

消費者庁も、床に物を置かない、コードを通り道にしない、めくれやすいカーペットの下に滑り止めを敷くなど、生活環境を整えることを勧めています。

家の中を歩いてみることが大切

安全対策というと大掛かりな工事を想像するかもしれません。

しかし、まずは親が普段歩いているルートを家族が実際に歩いてみましょう。

玄関からリビング。

リビングからトイレ。

寝室から洗面所。

このように歩いてみると、「ここにコードがある」「ここは暗い」「ここに荷物がある」と気づきやすくなります。


高齢者の家庭内事故が多い場所⑤|ベッド・寝室

寝室も確認したい場所です。

特に夜中にトイレへ行く場合、暗い中で起き上がって移動することがあります。

消費者庁も、ベッドから起き上がるときや体勢を変えるときは慎重にするよう注意しています。

寝室でできる安全対策

ベッド周辺に物を置かないようにします。

スマートフォン、本、衣類などを床に置いていると、夜間につまずく原因になることがあります。

また、夜間にトイレへ行く場合は、足元を照らせる照明を用意しておくと安心です。


高齢者の家庭内事故が多い場所⑥|台所

台所では、床にこぼれた水や油、キッチンマット、踏み台などが事故の原因になることがあります。

消費者庁の資料でも、キッチンマットにつまずいたり、吊り棚の荷物を取るために踏み台から転落したりする事例が紹介されています。

台所でできる安全対策

キッチンマットがめくれていないか確認しましょう。

また、高い棚に重い物を置かないことも大切です。

よく使う物は、無理に背伸びをしたり踏み台を使ったりしなくても取れる位置に置きましょう。


高齢者の家庭内事故が多い場所⑦|庭・ベランダ・駐車場

家の中だけではなく、庭やベランダ、駐車場にも注意が必要です。

段差、濡れた地面、置きっぱなしの道具などが転倒につながることがあります。

ベランダでは植木鉢などが通路を狭くしていないか確認しましょう。

庭ではホースや園芸用品を出しっぱなしにしないようにします。

駐車場では段差や路面の状態にも注意しましょう。


「家をきれいにする」ことが安全対策につながることもある

高齢者の家庭内事故を防ぐうえで、掃除や整理整頓も重要です。

床に物が多い。

コードが通路を横切っている。

玄関に荷物がたまっている。

こうした状態では、転倒のリスクを減らしにくくなります。

消費者庁も、床に物を置かないことやコードを通り道にしないことなど、整理整頓を転倒予防のポイントとして挙げています。

つまり、家事は単に「きれいにする」だけではなく、安全に暮らせる環境を整えることにもつながります。


家族ができる安全対策チェックリスト

親の家を訪問したとき、次の項目を確認してみましょう。

□ 廊下や床に物が置かれていない

□ 電源コードが通路を横切っていない

□ カーペットやマットがめくれていない

□ 階段に手すりがある

□ 階段や玄関が暗くない

□ 浴室の床が滑りやすくなっていない

□ 浴室や脱衣所に手すり・滑り止めを検討している

□ ベッド周辺に物を置いていない

□ 台所で踏み台を使わなくても物を取れる

□ 庭やベランダに物が散らかっていない

一つずつ確認するだけでも、危険な場所を見つけるきっかけになります。


高齢の親に「危ない」と伝えるときの注意

家族が危険な場所を見つけると、

「危ないからやめて」

「そんなところに置かないで」

と注意したくなるものです。

しかし、何度も注意されると、親本人が「怒られている」と感じることがあります。

例えば、

「ここにあると歩きにくくない?」

「この棚は高いから、よく使う物は下に置こうか?」

「お風呂掃除は大変なら手伝うよ」

など、一緒に改善する形で話してみましょう。

本人が納得したうえで環境を変えることが大切です。


家事代行17年の経験から見る、高齢者の家の安全対策

家事代行を17年経験してきた中でも、高齢者のお宅では、「掃除の問題」と「安全の問題」が重なっていることがあります。

床に物が多ければ掃除がしにくくなります。

掃除がしにくくなると、ホコリがたまるだけでなく、歩くためのスペースも狭くなります。

浴室掃除でも、本人が頑張って掃除することで、しゃがむ・立ち上がる・滑りやすい床を移動するなどの負担が増えることがあります。

だからこそ、高齢者の家事では「どこまできれいにするか」だけではなく、安全に暮らせる環境をどう作るかを考えることが大切です。

家族ができる部分は家族で行い、重い物の移動や大掛かりな掃除などは外部サービスにお願いする方法もあります。


家事代行を利用して安全な家を保つ方法

高齢の親が一人暮らしをしていて、家族が頻繁に掃除できない場合は、家事代行を利用する方法があります。

例えば、

  • 掃除機がけ
  • 床掃除
  • 浴室掃除
  • トイレ掃除
  • 洗面所の掃除
  • 整理整頓
  • 洗濯

など、対応可能な家事を定期的にサポートしてもらいます。

家族がすべてを担当する必要がなくなるため、遠方の家族にとっても負担を減らしやすくなります。

また、親が無理をして危険な掃除をする必要がなくなるという面もあります。

ただし、家事代行の対応範囲は事業者によって異なるため、依頼前に確認しましょう。


家族だけでできない場合は、環境整備も専門家へ相談

手すりの設置や段差の改善など、大きな住宅改修が必要になる場合があります。

そのような場合は、家事代行だけで解決しようとせず、住宅改修や介護・福祉の専門機関などへ相談することも大切です。

また、親の生活全体に大きな変化が出ている場合には、掃除だけの問題ではない可能性もあります。

「安全な家にする」

「家事の負担を減らす」

「必要な生活支援を受ける」

という3つの視点から考えてみましょう。


まとめ|高齢者の家庭内事故は「危険を減らす環境づくり」が大切

高齢者の家庭内事故では、特に転倒・転落に注意が必要です。

消費者庁の調査では、階段、風呂場・脱衣所・洗面所・トイレ、庭・ベランダ・駐車場などでのけがが多く、住み慣れた自宅でも事故が起きています。

事故を防ぐためには、

床に物を置かない

コードを通り道にしない

階段や玄関に手すりを検討する

浴室や脱衣所の滑り対策をする

高い場所の物を無理に取らない

夜間の足元を明るくする

庭やベランダの物を整理する

など、生活環境を少しずつ整えることが大切です。

そして、家族が親の家を訪問するときには、「何か危険なところはないかな?」という視点を持ってみましょう。

特に、以前は問題なくできていた家事が負担になってきた場合は、本人に無理をさせないことが重要です。

掃除や整理整頓も、単に家をきれいにするだけではありません。

高齢の親が安全に暮らせる環境を作るための大切な生活支援でもあります。

家族だけで難しい部分は家事代行などの外部サービスを利用し、必要に応じて介護・福祉の専門機関にも相談しましょう。

「まだ大丈夫」と思っているうちに、家の中の危険を一つずつ減らしていくことが、安心した暮らしにつながります。


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